児童書 獣の奏者 闘蛇編&王獣編
獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)
獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)
獣の奏者 (3)探求編
獣の奏者 (4)完結編
アニメをちらっと観たときはそれほど引き込まれなかったけれど、原作の力はスゴイです。
想像力を刺激されまくります。
この世界は誰のものなのか。
心地よいカタルシスも味合わせてくれます。
獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)
獣の奏者 (3)探求編
獣の奏者 (4)完結編
上橋奈穂子著
新幹線の東京ー新大阪往復で読破してしまいました。
それほどはまります。アニメをちらっと観たときはそれほど引き込まれなかったけれど、原作の力はスゴイです。
想像力を刺激されまくります。
緑の目を持つ霧の民(アーリョ)と、殺戮兵器である闘蛇を飼育する闘蛇衆との混血の少女エリンの苦難に満ちた物語。闘蛇の飼育に失敗したとされ母 を処刑され、偶然、逃げ込んだ先がわけありの蜂飼いジョウンおじさんのもとだった。ここでエリンは、蜂の飼育を通して、生き物と交流する面白さや、学ぶ楽 しさを知る。やがて、物語は王の象徴となっている、決して人に慣れないという王獣との出会いにより、エリンの運命は激流にのまれていく・・・。
養蜂の描写が、物語の導入に重要な役割を果たしています。
蜂の使われ方は、主人公を物語の核心へと導く役割ということで「りりぃ、はちみつ色の秘密」と共通点が。「りりぃ」の方は、みつばちが物語りの底 流に常に流れている構成になっているけれど、こちらはきっかけという位置づけ。エリンが次々に繰り出すミツバチへの疑問がとても面白いです。王乳の捉 え方が、これを人間がいただいてもいいのか、といった疑問をちゃんと提示していて、この物語ならではのアプローチです。とにかく、こんなファンタジーが日本で紡がれていることに誇りを感じるほどの傑作です。
王獣とエリンの距離感が、獣=自然と人間のあり方を深く捉えていて、ものすごく考えさせられます。この世界は誰のものなのか。
心地よいカタルシスも味合わせてくれます。
さすがアボリジニを研究している文化人類学者の上橋氏です。
余談ですが、20年ほど前にオーストラリア観光局のプロモーションの仕事をしていたときに、アボリジニの人たちを招き、ディジュリドゥの演奏をし てもらうために一緒に仙台まで旅をしたことがあります。この物語は、大地を震わすディジュリドゥの音色が聞こえてくるような骨太のファンタジーワールドだ と感じました。アニメの王獣は、私の想像よりもちょっと地味。上橋氏がアニメの監修もされているから、こういうイメージだったのかなあ。