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「養蜂神アリスタイオスAristaios」

2010.01.25 by junbee

アリスタイオスはヨーロッパにおける「養蜂神」で,アポロンとニンフ,キュレネの子です(母違いの兄弟であるオルフェウス(母はカリオペ)は皆さんも知っているでしょう).実はオ ルフェウスの悲劇(オッフェンバッハのパロディ版オペレッタ「地獄のオルフェ」も有名だが)の張本人が彼です.アリスタイオスのストーカー行為から逃げよ うとしたオルフェウスの妻エウリュディケが蛇に噛まれて死んでしまい,悲嘆にくれたオルフェウスは黄泉の国に妻を取り戻しに行きます.竪琴の名手だったオルフェウスは 地獄の番犬ケルベロスをも手なずけて,ついに冥王ハデスに妻を帰してくれるように願い出ることができます.地上に出るまでふり返らないことを条件に返して もらうのですが,最後の最後でふり返ってしまい,エウリュディケを永遠に失います(ここが悲劇の部分).
これを知ったニンフたちは,アリスタイオスを恨んで彼のミツバチを滅ぼしてしまいます.困ったアリスタイオスは,母キュレネに泣きつき,死んだウシからミツバチを復活させてもらう(おいおい自分が養蜂神なんでは?)というのがストーリーです.

死んだウシがエジプトの神牛アピスとつながり,ミツバチの学名もこれにちなんでいます.死んだウシからわき出たのは当然ハエだったのでしょうが...

いずれのストーリーにも諸説あります.

ミツバチの復活に関しては,自分が恨まれているとの情報をプロテウスから得るために格闘して(ちょっと男気があるのか),これを打ち負かし,ミツバチ復活の方法を聞き出しています(自分が養蜂神なんだから,復活の方法くらい編み出せてもよいのでは...).とは言え,そうすべきという知恵はやはり母親のキュレネから得られたもの(マザコンぽい).
「ウシからミツバチ」も実は,旧約聖書に出てくる,サムソンが素手で打ち倒したライオンから分蜂が飛び立つ絵(士師記 14,「見よ,獅子のからだの中に,蜜蜂の群れと蜜があった」),あるいはキュレネが倒した(あるいは彼女に捧げられた)ライオンからミツバチが 飛び立っている絵の読み違いとか...

息子の死後,広く地中海沿岸を放浪してオリーブやチーズなどを伝えたことになっていて,各地に彼の名前が残っていますが,最後はどこでどうなったのかは定かではないようです.

アリスタイオスについてはWikiにもかなり詳しく情報が収集されています.

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