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「自然との共生」というウソ

2010.03.03 by Lazy Bee

「自然との共生」というウソ (祥伝社新書152)

高橋敬一著

「人間が住まない」と自然は豊かになる。(本文より)

「人類が消えた世界」に続き、再び人類否定の書の紹介です。

「人類は古来、自分にとって都合のいいように環境を改変する一方、自分自身が始めたわけではない変化についてはこれを恐れ、非難し、いつかもたらされるかもしれない世界の週末におびえながら生きてきた」
この一文は、まさに今、ミツバチの置かれている現状と符号します。

“環境を都合のよいように激変させたことで、ミツバチをはじめ多くの生き物の生存が脅かされています。特にミツバチはアインシュタインがいなくなったら、4年後には人類滅亡といったとかいわないとか…。”と置き換えられます。やれやれ。

人間のいう共生とは、自分の都合にほかの生き物を合わせること。

なぜなら、それが「自分の生き残りと増殖とを最優先させる行動原理しかもたない」遺伝子の本能だから、というのが著者の論。

その本能をもった人間が、自然をつくりかえる力を持ってしまった。そのためにどんどん増えるし、おまけに寿命も延びる。キャパいっぱいになっているけれど、遺伝子の本能が欲望という油に火を注ぎ(あ、これは私の表現です)、その生命活動は止められない。ということで、滅亡は避けられないのでは?とかなりペシミスティックな論が展開されています。

私は、この「欲」を制御するために歯止めになっていたのが、たぶん宗教だとか、祟りだとかといったことだったんだろうと考えていました。そんなものが力を持たなくなりつつある今、人類はどこへ向かおうとしているのか。

「私たちに必要なのはただ、いかなる未来をも受け止める勇気だけである」

本書の締めくくりの一文です。
といいつつ、高橋氏がもっとも自然への郷愁を強く感じ、今の有様を人一倍嘆いていると思いました。
利己的なるがゆえに、滅亡を避ける「欲」に目覚めたいものです。
そういう意味でも、ときにミツバチの視点に思いをめぐらせてみる価値はあるのでは?

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